〈美容〉脂肪注入
頬や瞼やコメカミなど、くぼんだ部分に自分の脂肪を注入することにより、ふっくらさせる方法です。手、乳房、臀部、下肢などにも注入可能です。針で注入しますから、傷も目立たず腫れも少なく、翌日から洗顔やお化粧、シャワーも可能です。
ただしこの方法の欠点は、注入した脂肪が多少吸収されることです。吸収率には個人差や部位による差がありますが、顔の場合はおよそ40~60%の脂肪が吸収される、逆にいえば60~40%の脂肪が吸収されずに残る(すなわち生着する)と考えてよいでしょう。この点が、最終的にはすべて吸収されてしまうコラーゲンやヒアルロン酸と異なる点です。
顔以外の脂肪注入では、生着率はやや劣り、時にはほとんど吸収されてしまうこともあります(乳房の脂肪注入については「豊胸術」のページをご覧下さい)。 一般に、吸収を見越して20%ほど多めに注入します。これ以上の量を注入すると、腫れが目立つだけでなく、もし予想以上に生着した場合には修正が困難な場合もあります。
仕事が休めない方や、手術したことを他人に知られたくない方は、回数と費用はかさみますが、2~3回に分けて徐々に脂肪を増やすことをお勧めします。
手術について
- 注入希望部位と脂肪の採取部位(お腹、臀部など)に局所麻酔を行います。なるべく痛みを感じなくて済むよう、一般に静脈麻酔を併用しています。
- 2~3ミリの小さな皮膚切開から必要量の脂肪を吸引したあと、血液などを洗って脂肪をきれいにします。
- ふつうの注射よりは少し太めの針を使って、目的の部位に均等に注入し、表面に凹凸が生じないようマッサージを行います。
- 脂肪採取部位は、スポンジなどで軽く圧迫します。手術時間は、30分程度です。
手術の経過及び注意事項
- 翌日、脂肪採取部位の圧迫を取ります。顔の注入部位の針のあとが1~2日赤く見えることもありますが、顔の場合はお化粧でカバーできます。
- 手術自体の腫れは少ないのですが、脂肪を少し多めに注入していることもあって、1~2週間くらい、腫れぼったく見えることもあります。皮下出血は稀ですが、もし生じた場合でも2~3週間で消褪します。
- 1週間後に来院していただき、脂肪採取部位の抜糸をします。翌日からお風呂につけても構いません。
- 抗生物質は5~7日間服用します。
- 2週間~1ヶ月の間に脂肪の吸引が起こりますが、その後もすこしずつ吸収されますので、手術の本当の結果は半年後と考えて下さい。
- 注入された脂肪が一時的に固まって、特に皮膚のうすい瞼などでは多少凹凸が目立つこともありますが、次第に軟らかくなります。
- 脂肪採取部位も一時的に硬くなり、時に痛みを伴うこともありますが、2~3ヶ月で軟らかくなります。入浴時に軽くマッサージをするとよいでしょう。