〈美容〉脂肪吸引
脂肪吸引は1979年にフランスの医師によって始められ、日本でも既に一般的な手術として定着しています。 手術原理自体は比較的単純なために、多くの医師により行われていますが、しばしばマスコミに登場するような乱暴な手技により皮膚表面に凹凸を生じたり、全身的な合併症を生じることもあります。
患者さんサイドの問題としては、30~40歳以降の方や妊娠線があるような方で、皮膚の弾力が減少している場合には、手術後にかえってシワやタルミが強調されることもあります。ゴム風船の空気を抜いてもシワは生じませんが、紙風船の空気を抜くとシワができるのと似ています。この場合、脂肪吸引ではなく、タルミの“切除”が必要になります。
また、いわゆる“太鼓腹”や立った時に下腹部がふくらむような場合は、内蔵脂肪の貯溜や腹直筋の弛みが原因ですから、脂肪吸引だけでは解決できません。ダイエットや、手術による腹直筋の縫縮が必要になります。
脂肪吸引を痩身術と勘違いしている人も多いのですが、全身の脂肪を一度に取るようなことをすれば、生命に影響を及ぼします。あくまでも食事療法や運動療法を主体として標準体重に近づいた後に、余分な脂肪を吸引してボディーラインを整えるのが理想です。
手術について
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下まぶたのタルミとりの膨らみ、ホウレイ線、二重アゴや上腕、ヒップなど吸引の範囲が狭い場合は、局所麻酔のみ、または静脈麻酔と局所麻酔の併用で手術を行います。
2010年夏には最新の脂肪融解・痩身レーザー「AccuSculptⅡ」を導入し、メスを使うことなく余分な脂肪やセルライトを短時間で除去できるようになりました。⇒AccuSculptⅡ紹介ページはこちら
吸引の範囲が広い場合(腹部全体、大腿、下腿など)は、全身麻酔または腰椎麻酔で手術を行います。総吸引量が2000ccを超えることが予想される場合は、稀に肺塞栓など全身に影響が出ることもありますから、入院した方が安全です。
- レーザーの場合は針穴程度、一般の脂肪吸引では数ミリの小さな皮膚切開からカニューラ(吸引管)を挿入し、脂肪を吸引します。
- レーザーの場合、縫合の必要はありません。一般の脂肪吸引の場合は傷口を縫合して手術を終了しますが、場合によっては中に血液が溜まらないように、ドレーン(細いビニールの管)を傷口から挿入します。
- 吸引部は、スポンジや包帯、またはあらかじめ用意していた弾性ストッキングやボディースーツなどで軽く圧迫します。
手術の経過及び注意事項
- 翌日、スポンジなどの圧迫を取ります。ドレーンも抜去します。ただ、弾性ストッキングやボディースーツなどの圧迫帯は、手術後最低1ヶ月間続けます。
- 手術をするのですから当然痛みはありますが、痛み止めの坐薬や内服で抑えられる程度です。ふつう1週間位で、触れなければ痛くない程度に落ち着きます。
- 1週間後に来院していただき、抜糸をします。翌日から入浴可能です。
- 抗生物質は7日間服用します。
- 皮下出血は必ず生じますが、2~3週のうちに次第にうすくなり消褪していきます。
- 2週間くらいは腫れが出ます。腕や下腿の手術では、手足がむくみます。最も腫れが長引くのがふくらはぎの脂肪吸引で、回復まで1~3カ月以上かかることもあります。
- 手術後1~3ヶ月は吸引部分の皮下が硬くなり、多少凹凸が生じたように見えることもありますが、6ヶ月位で軟らかくなります。手術後2週間目より入浴時に軽くマッサージをするとよいでしょう。
- 結果を維持するために、ダイエットや運動を続けると、より効果的です。